春の感謝祭(23)

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ヒンディー映画ダンサーのラーニーはB級トップダンサー(1)で紹介して、その後何回か登場してもらっている。B級映画はあっても、B級ダンサーはトップではない。だからこのキャッチフレーズは失敗と思って使っていなかった。とはいえ、ラーニーはトップリーグの踊り手でも出た映画はほぼB級だ。元レスラーのダーラー・スィン映画が多いし、ターザンものや蛇ものなどが出演作だった。

 

jaadu dale hai kiski ada (Maya 1961) カッタク流なので旋回が達者だ。踊りは軽やか。体型もきゃしゃで、南インドとはずいぶん趣きがちがう。顔立ちは個性があって埋もれてしまう素材ではないはずなのに、ヒロイン Mala Sinha のようなアクがない。

ja main tose nahi boolon  (Sautela Bhai 1962) ムジュラーの世界はやはりペルシア的だ。相方はホットポテトで紹介したジーヴァーンカーラ

 

Ganga Ki Lahren (1964) ダンスバトルの相手はクムクムKumKum で、この人もカッタク流で達者なのだがラーニーには一段おとる。ところが軍配が上がるのはクムクムのほうだ。これが撮影所力学のつらいところだ。サーヴィトリの数少ないヒンディー映画出演作でもあるが、駄作らしい。

 

aankho mai tum ho samaye (Badshah 1964) ダーラー・スィン映画で、ミュージカル場面だけカラーになる。セリフもちゃんとあるが、最後は成敗される悪女だ。

 

meri ankhe hai nashili (Zimbo Ka Beta 1966) なぜかミュージカルで日本人になり、「サー、クラー、サー、クラー」と歌う。

 

ae dil tere mukkadar ka (同) ジンボはインドのターザンで、人気シリーズだった。ジャングルで裸のカッワーリー、ジェーンと歌を合わせる。B級でも音楽は手を抜かないのがインド映画だ。

 

もとはインド映画でも屈指のダンスバトルである、アーシャー・パーレークとの Phir Wohi Dil Laya Hoon で注目していた。アーシャーもトップダンサーだが、一歩もひけをとらない。でもバトルでは負け犬の役回りだ。その後の映画歴もぱっとせず、記録がようやくたまりはじめたのは最近のことでwiki の項目もない。 Rani:IMDb 

 

ムスリムであるせいかとも思った。トップダンサーは他にはワヒーダー・レヘマーンくらいしかいない。しかしムサルマーン人口は15%だから、それほどバランスがおかしいわけではない。ナルギース、マドゥバーラー、ミーナー・クマーリーとイスラーム教徒のトップ女優はいくらでもいる。何かが足りなかったのだろうが、後ろ盾のいない苦労人だったようだ。