身毒秘宝館(2)

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Naji のSabiha Khanum

 

サビーハ・ハーナム  صبیحہ خانم の Naji のパチンコポスターが印象に残ったので、tube にある本編を観たらいっぺんでファンになってしまった。

 

Naji は主人公の名 Naazia نازیہ  の愛称で筆記上は Naaji だが、映画の中ではいつもナジーと呼ばれている。野鳥をパチンコで打ち落とすような元気な田舎の女の子で、パンジャービー朝ドラの主人公になれそうだ。

 

セリフはわからないが理解には困らない。ザミーンダールのバカ息子(いつもお付きに体をもませている)と、都会から来た青年(いつもコルク帽をかぶっている)のあいだでナジーが苦労する話だ。前半はナジーのはじけた魅力がのどかな農村を舞台に描かれる。建国まもないころで、パーキスターンも印度もなにかしらの理想主義が存在したことがわかる。それから訳のわからないことになっていったのだが。

 

青年が事故でいったん都会(ファイサラーバードのようだ)に戻り、話は湿っぽくなってくる。バカ息子はナジーをさらおうとするが、ナジーは棒で反撃したり噛みついたりする。こういうところがパンジャービー娘なのだろう。そのさなか、カンフー映画のようにナジーの父は殺されてしまう。

 

ショックで精神に変調をきたしたナジーは証人になることもできず、バカ息子たちは釈放されてしまう。ここからサビーハの本領はさらに発揮される。非伝統的ふるまいをかさね、都会に出てそこでも騒ぎを引き起こす。こういう役柄を得意としたらしい。表情がくるくるかわり、笑い声がここちよい。Vennira Aadai のジャヤラリターを思い出させる生得の活気がある。こういう若い子におじさんはイチコロでやられてしまう。

 

そこからどう着陸するかは書かないが、他の大ヒット映画とくらべると平凡な作品らしい。しかし、大したことのない話で主演の力はきわだつ。

 

サビーハ・ハーナムは分離独立後の最初の女性大スターだった。ヌール・ジャハーンら戦前からの俳優たちも移住していたが、あたらしい顔が求められていた。それを満たしたのが1935年生まれのサビーハだった。女優の娘で歌も踊りも達者だったが、マラヤーラムのナスリヤ・ナスィームのような自然で生き生きとした存在感がいちばんの武器となっただろう。

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