ハールーン・アッ・ラシードは2018年のシリアとアラブ首長国連邦の合作による、全32話のドラマ・シリーズだ。イスラーム圏で放映され、tubeでは好評と不評がせりあっている。これはシリア製作ということと、アッバース朝がシーア派を取りこみアラブ帝国からイスラーム帝国へと成長した王朝である背景による。
千夜一夜でおなじみのカリフの右腕バルマク家は、ペルシア系貴族だから当然登場する。イランの影を気にするわけだ。実際はバルマク家は粛清され、テュルク系のマムルークが台頭するのだからそんな簡単な図式ではないのだが。いまのところ英語情報もないし、「オスマン帝国外伝」のように日本で放映される可能性もなさそうだ。
ドラマに酔っぱらいのアブー・ヌワースが出てくるか探したが、この酒場の場面しか引っかかりがない。ウマル・ハイヤームやルーミー、アミール・フスローに先立つ人気詩人だ。コップを手にした意味ありげな客がそうか、歌姫が歌うのがヌワースの詩なのかそれもよくわからない。