アブー・ヌワース:Kahlil Gibran 画 (20世紀初頭のレバノン人コスモポリタン) ターバンを巻いたボードレールのようだ。
天野喜孝が描いたFFのキャラクターみたいだが、アブー・ヌワースは1200年前の快楽主義者、デカダン詩人だった。こんな意味の詩を書いた。
風呂場ではズボンに隠された秘密のことどもが明かされる
すべてが光り輝いて誇示される
目の喜びを惜しみなく味わうがよい!
凛々しい尻が、形のよい胴が見えよう
男たちがお決まりの挨拶をささやくのが聞こえよう
(「神は偉大なり!」、「神を称えよ!」)
ああ、風呂場はなんという快楽の宮殿か
タオルをまとう者が入りこみ、楽しみが少し損なわれたとしても
(このサイトから重訳)
酒色にふけりこんな詩を書いて生き永らえたのは、よほど機才に恵まれていたのだろう。ということで千夜一夜でもいくつかの挿話で、ハールーン・アッ・ラシードとともに登場している。そこから派生して頓智頓才の人として民話に描かれるようになった。
タンザニアの漫画 Abu Nuwasi の主人公
とりわけ人気が高いのは世界最大のムスリム人口をかかえるインドネシアで、tubeでアニメやドラマのなかに現れる。インドネシアの説話
The Father of Locks という小説では、探偵としてバグダードの闇にせまる。
アラブ圏では詩の朗誦はtubeにあっても、ウマル・ハイヤームのように歌われることはあまりないようだ。世界観は近接しているが、三百年の時代差があるので音楽に乗せにくいのか俗すぎるのか。