ジャヤマーリニ

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姉のジョーティラクシュミはデビューが古いのであまりよいクリップがないのだが、妹のジャヤマーリニのダンスはいま見ても鮮烈だ。姉と同じ地母神スタイルで童顔巨尻なうえ、圧倒的なパワーダンスを披露してくれる。
lingu lituku (Rani Kasula Rangamma 1981 テルグ)
二役で踊っているが、見かけとちがってほんとうに踊れる人だ。正確なステップ、スピン、腕と手、体全体の柔軟で大きな動きと申し分ないのだが、細部に独特の生気がある。分割画面で音楽と完全に同調しているところに注目してもらいたい。客席に若きメガ・スターがいる。

tappinchukolevu na chethilo (Khaidi 1983 テルグ)この肉体の躍動感はちょっと例がない。ラムちゃんコスチュームが基本だ。黒もよく着て、これが似合う。

*「カーヴェリ川長治の南インド映画日記」サイトでKhaidiの同名カンナダ版(1984)を知った。同じダンス場でも変わらないのは布面積くらい。サイト主はジャヤマーリニ主演Guru Shishyaruの「DVDを棺桶に入れてくれ~。」とのこと。

アイテム・ナンバルだけでなくJaganmohini(1978 テルグ)ではヒロインを演じ、大ヒットとなっている。
chali chali ジャヤマーリニ・ダンスは見て楽しい。パワーだけでなくスピードも備えているから跳ねまわっても様になる。

ヒンディー映画にも登場している。haath na lagana (Jeene Ki Arzoo 1981)のプレイバックはアーシャー・ボースレーだ。

Chaduranga(1985 カンナダ?)ではクーチプーディも踊れるところを見せてくれる。基礎技術が確かだからダーティーダンスも汚れない。
画質はちょっと劣るがこれ もうまい(タイトル不明)。

gudivada vellanu (Yamagola 1977 テルグ)地上を来訪した閻魔大王(Yama)を接待している。マードゥリーのように一挙一動に磁力がある。細部の動きが他のダンサーとまるでちがうのだ。

praya praya (Guru Bhakthi 1984 カンナダ )この立派なお尻で踊れるのが驚異だ。シュリーデーヴィー(ニューヨークのマダムも昔はThunder thigh イカヅチの太ももと呼ばれていた)やミーナー、パシュトー映画のムッサラート・シャヒーンにも似た体型だが動きのシャープさは群を抜いている。

カンナダ映画 Guru Shishyaru (1981) 主演のマンジュラManjuraもかなり踊れる人なので、バトルとして成立している。ジャヤマーリニはいつも半裸で宮廷をうろついて陰謀をたくらむ悪女。マンジュラは地上に墜ちた天女なのでいつも不機嫌だが、ヴィシュヌヴァルダンを更正させる。
代表的クラシカル・ナンバル 。カンナダ映画は、このころのほうがセットも豪華かもしれない。


姉妹は多くの映画で共演しているが、そんなにクリップがない。Seetharamulu (1980 テルグ)を見るとやはりよく似ている。ジャヤプラダが工場オーナーで、組合リーダーのKrishnam Rajuは恋人のちに夫という面倒な状況らしい。

neevu ganta maridiva  (420 1992 テルグ)
420はインド刑法の詐欺罪の条項で、ラージ・カプールShree 420、カマルハーサンChachi 420など有名作品がある。ジョーティのトレードマークだった右のホクロは、このころまでに取ってしまったようだ。

ジョーティラクシュミは生年不詳だが、ジャヤマーリニは58年生まれで8番目の末っ子となっている。ふたりともアーンドラプラデーシュ州生まれ。姉は63年のタミル映画で結婚する娘を演じているのがいちばん古い出演記録なので、年の離れた姉妹のようだ。ジャヤマーリニは75年タミル映画でデビューしている。
たがいのライヴァル意識は強く、現場では口を利かなかったらしい。最近になって電話で話すようになったという。
姉は映画出演を続け、ダンス番組の審査員などで健在なところを見せている。妹は結婚を機に引退したきりだが、それぞれ最近インタヴュー番組に登場している。

この記事によればテルグ映画界ではヴァンプは絶滅危惧種だという。息抜きとしてのダンス場面が性意識の変化と踊れる人がいなくなったことで露出が主目的となり、いまはヒロインまで露出するようになったということだろうか。