現在(2017年10月)、湖南衛視で我们来了 (第二季)という真人秀(リアリティー・ショー)をやっている。放映直後にはyoutubeで高画質配信され、12回シリーズでもう9回まで来た。
演員は12人で芸界女性知名人が6人、あと「素人」の「90后職業人女性清英」が4人の女所帯に主持人(ホスト)の男2人が加わる。
「黄飛鴻」系列の十三姨・関之琳(ロザムンド・クワン)
那些年,我們一起追的女孩(あの頃、君を追いかけた)の the apple of my eye だった陳妍希(ミシェル・チェン)
「后宮甄嬛傳」(宮廷の諍い女)の華妃・蒋欣
が目当てだ。他に知った顔としては同じく「甄嬛傳」で祺貴人だった唐芸昕がいる。祺貴人は満族上三旗の瓜爾佳(グワルギャ)氏出身を笠に着て、蒋欣の華妃と張り合っていた。ところが関之琳は本物の瓜爾佳氏で、思わぬ因縁をはらんでいるのだった。
とはいっても、やっていることは名所めぐりとそこでの遊戯や実習体験で、真にたわいない。各地のきれいな映像と明星たちの言動を字幕とともに漫然と眺めているのが心地よい。これまでに北京長城、広東佛山、湖南永州、黒竜江哈爾浜、陝西西安を遍歴している。
陳妍希は、番組中でショーロンポーと呼ばれている。これは3年前に大陸電視の神鵰俠侶で金庸作品の人気女主角、小龍女を演じたところから来ている。歴代の仙気飄々たる造型(劉亦菲が演じたような)に反してマンジュウ顔(包子臉)なので小龍女でなく小籠包だと視聴者から突っこまれたのだ。
蒋欣は甄嬛傳の驕慢な華妃に対し、実像は八字眉・尖り口の三枚目で常に率先して場を盛り上げている。大柄なので微胖(ちょいデブ)とかいじられる。 出演者たちのあいだでは胖子も悪口で用いられ、青を身に着ければ藍胖子(ドラえもん)だ。 反対に再会したときは痩了!がお世辞になっている。
蒋欣と陳妍希は同年でいつも仲良く在一起で、妍希は小柄だから小背子だ。関之琳は長老といった格になる。関之琳は満族由来の香港人、陳妍希は台北生まれの帰国子女、蒋欣は回族と出身は多様だ。
これに漢族の若手である 唐芸昕、宋茜、沈夢辰が三傻(3バカ)として絡んでくる。出色は宋茜で、罰戯でヘリからロープで吊るされての長城越えに挑んだので驚いた。成龍顔負けだ。この人はクリスタルが所属する多国籍K-POP小組であるf(x)の隊長で、歌って踊れる多能さから網絡でも全能女神として人気が高い。
お気楽な真人秀とはいえ、記憶に残る場面はいくつもある。全体にものすごく金がかかっている。撮影地も長城をrunwayに見立てて走秀(ファッションショー)をしたり、戦車が何台も並んで走れそうな西安城壁で自転車競争したり(気持ちよさそうだ)、ゆかりの広東佛山の撮影所で袁和平監督指導のもと(!)黄飛鴻・蒋欣、十三姨・関之琳による短編の製作体験したりと豪華だ。蒋欣もこういうときは凛々しく、さすがに役者だった。
十三姨復活の関之琳
制作人員・機材が豊富で、いわゆる撮れ高が多いのだろう、場面がつぎつぎ進み編集が流れるようなのがあきさせない原因だ。広告時間がないのもいい。真人秀であるため 部屋の隅に商品が置いてあるような見せ方だったり、携帯会社が提供でもあるので手機を進行に活用したりして宣伝のかわりにしている。
西安ではビャンビャン麺の手打ちを実習していた。ビアンの原字は実際に書くところを見ると、とちゅうで4回笑ってしまう。それくらい無意味に画数が多い字だが、字幕ではbiang biang で処理していた。中国人だってわからないだろう。
湖南永州の書院で学童らと愛蓮説 を唱和する場面も印象深かった。みな芸人であるせいか、随所で歌い舞い詩を吟じ、ちょっとした芝居ができる。教養というものだろう。と思ったら玄奘ゆかりの大雁塔の層数を答えられなかったり、西安を流れる渭水(ガンガー、ヤムナーのようなもの)の名を知らなかったり、江南の人が多いためか中原のことは疎いようだ。
おまけ。甄嬛・孫儷の特技