ジーヴァン、ズィンダギー

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 jeevan ke safar mein rahi Munimji (1955) 泥棒あつかいされた仕返しでナリニーに嫌がらせをしている。

 

ベラルーシ語で「生きろ」はジベだという記事を読んで、これはサンスクリットジーヴァナजीवनではないかと思った。

ヒンディー語ではジーヴァンでlife、映画によく出てくる言葉だ。

映画に出る類語はズィンダギーज़िंदगी があり、こちらはペルシア語zindagi زندگی から来ている。

ジーヴァン、ズィンダギーとも生命や人生を意味する単語で、その両方を描くのが映画だからよく耳にするのは当然といえる。

ae meri zindagi aaji raat jile Taxi Driver (1954)

 

ジーヴァン、ズィンダギーは黒海やカスピ海の北側にいた人たちの言語に由来するとされる。Proto-Indo-Europeanでは gʷeyh₃ だったものが Proto-Ind-Iranian で ǰáyHati となり、語幹のズィからアヴェスター語を経てペルシアでズィースタンとなった。ズィンダギーはさらにその派生で、ペルシア語からウルドゥ語に取り入れられた。クルド語やタジク語、パシュトー語にも跡が残っている。

インドではズィはジーヴ जीव् となり、ジーヴァナ、ジーヴァンが生まれた。

 

古代ギリシア語では崩れてベイオマイとなったが、スラブ語派ではズィが生き残った。黒澤の「生きる」は、ロシア語題名がズィだ。ポーランドウクライナチェコ、スロヴァキア、スロヴェニアリトアニアアルバニアキルギスボスニア、セルヴィアも生命にまつわる語幹は同じで、ベラルーシ語のジベはその仲間だ。

 

来年は週いちどくらいの更新にもどす予定。