これはオリエンタル・リフと呼ばれるいかにも中国っぽい旋律を使ったCM曲で、これ以外にも人生のどこかで耳にしたことがあるだろう。西洋大衆音楽では19世紀なかばまでさかのぼれるようだが、wikiは1889年ドヴォルザークのゴブリンのダンスにも影響を見出している。
1920年のペルシアの市場なども、イランではなくて中国だろう。作曲者は帝国植民地に対する音楽的心象を作品化して、当時の英国音楽界いちばんの成功者となった。
オリエンタル・リフで使われているのは中国五声音階なので、かならずしも西洋的偏見の産物というわけではない。日本のヨナ抜き調と同じものとされる。ただ五音でも組み合わせがちがうので、日本的ではない。
前回記事の大碗寬面は京劇歌唱、中国歌謡、ラップで構成されている。このうち張含韻の歌った歌謡部分は、いかにも中国な音の進行を聞かせる。これは上海灘の引用にも思える。
あまり知られていないことだが、未知との遭遇(1977)での五音の信号による会話はもともとオリエンタル・リフを使用する予定だったという。数学的言語だから、信号にひとつでもあやまちがあれば接続ははじかれてしまう。本来ならマザーシップからたくさんの中国人が出てくるはずだったが、奏者がまちがえたので宇宙人が下りてきてしまった。