浜辺美波のドクターホワイトがおもしろい。出演ドラマではいちばんの出来になりそうだ。
AimerのMVのように白衣の謎の少女として登場し、病院にはこびこまれる。記憶を一切失っているが医療知識だけ天才的にゆたかだ。下界に無知だから挙動は不審で、患者と医者の中間にただよっている。医療サイボーグのようでもあり、誤診をただちに指摘することができる。機械仕掛けのチャングムだ。
期待通りに柄本佑が狂言回しをしてくれるので、浜辺があちこちで表情演技を披露するあいまに物語はサクサクと進んでゆく。
最初は感情がないが笑いかたを教わったり、
服をえらんでもらったり、
クレープの食べかたを知ったりすることで、だんだん人間らしくなってくる。
コーヒーは苦手だ。
病院にいりびたっているうちにつぎつぎと的確に診断をくだし、嫌がられながらもバラバラになってしまった病院の医療チームの一員に迎えられる。
個人的には挙動不審の医療者やハイヒールの外科医には、かかりたくない。
洋服は浜辺のために発明されたものではないので、何を着ても似合わない。そのためいつも袋を被ったような服装をしているが、この作品は白衣なので破綻がない。和服や制服は、こういう人のためにあるのだろう。
崩壊した病院の患者ほど悲惨なものはないが、その再建と医療サイボーグ誕生の秘密が明かされる物語展開に期待したい。
おまけ
センセイ君主で新川優愛とならぶと、カジモドとエスメラルダのようだった。
おまけ2
注目していた成田凌の逃亡医は、脚本演出とも難点がある。成田と森七菜の演技は見る価値がある。
ドクターホワイトのような小説原作は、視覚作品としてふくらませることができる。日本のマンガはすぐれたメディアだが、マンガ原作ドラマは画とマンガ特有の進行にしばられ(依存して)ロクなものにならないことが多いと思う。
逃亡医の場合は、ドラマ独自のつけ加えが足を引っ張っている。
ケーララ州は教育水準が高いが産業がない。そのため無職の大卒がよい脚本を書き、質のいいマラヤーラム映画を作る。それをタミルやテルグの映画界が歌と踊りを付加して、大作に仕立て上げるのではないかと妄想している。