岸井ゆきの/KANA-BOON 

 

MV作品集で紹介した岸井出演のないものねだり(2013)はとても出来がよくて、最近視聴が1億回を超えた。KANA-BOON作品には計4回登場している。監督も同じだ。

 

以下ネタバレ

 

ないものねだりで岸井が怒っている理由は一目瞭然だ。さえないバンド仲間とつるんでいる身勝手でお子様のような男とのあいだに、子供を作る未来などありえない。

 

 

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1.2. step to you は同年秋に発表されたもので、ないものねだりのその後を描いている。

愛想をつかされた男は音楽活動をつづけている。岸井に似た女性と付き合っているもののやはりうまくいっていない。

岸井は就職して、あれほど怒っていた喫煙習慣が身についてしまった。やはり未練があるらしく、歌う男の姿に今ではほほえんでいる。

そこからのコントがおもしろい。自転車の二人乗りを警官にとがめられ「付き合ってんの?」と聞かれる。男はもごもご返事するが、岸井は「付き合ってません」ときっぱりいう。

これは岸井の素ではっきりした物言いをする人なのだろうとか、実生活で二人は付き合ってるのではないかとか妄想がはかどる。

 

 

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第三弾の生きてゆく(2014)では、岸井はスーパーに再就職した。たくましいヒゲ男と付き合っているが、ギターを背負った男を見ると昔を思い出してしまう。

男にも新しい恋人が出来たが、心をすべてゆだねることはできない。岸井と男は、海辺でギターを弾いた過去を回想してしまう。かつては音楽で結びついていたことがわかる。ヒゲ男と海にいても、岸井は幸福そうではない。

 

 

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生きてゆくには予告編も二つあって、岸井は俳優をめざしているようだ。まだ死体役だが。

男編では新恋人とも修羅場で、やはり幸せそうではない。

 

 

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眠れぬ森の君のためには自主制作盤時代の曲だが、5周年ということでMV化され岸井がまた招かれた。

岸井は新しい恋人がいて、生活も安定しているようだ。男はKANA-BOONとしてデビューしている。岸井は引っ越し準備で、荷物からKANA-BOONのアルバムが出てくる。恋人は聴きたがるが、岸井ははぐらかす。

その後、KANA-BOONのコンサートにたたずむ岸井の姿がある。

それからがまたお約束のコントで、再会した二人は警備員に「付き合ってんの?」としつこく聞かれる。二人は「付き合ってない」と否定するが、岸井は「結婚するんです」と爆弾発言。動揺する男。

これで完結編となるが、恋慕と未練、理想と現実、後悔と進んでいく時間の対比があざやかだ。よくある青春ドラマ(カラオケ映像)にしないためのコントが効いている。

 

二人は実際付き合っていたのか?インタヴューなど読むと、ほのかに真相が見えてくる。役者と音楽家の違いもわかる。