李賽鳳之大地恩情之家在珠江

 

ムーン・リー李賽鳳は1980年の電視劇である大地恩情之家在珠江で初めて大きな役をもらい、その役名である楊阿滿(広東語ではヨン・アムーン)にちなんでムーンの海外芸名がついた。

子供のころから丸顔なので阿滿になったのではないかと思うが、どうだろう。インドならチャンドラムキ、月の顔だ。

 

 

これは清末民初、辛亥革命前後の珠江デルタの農村を舞台にした大河ドラマで圧倒的な人気をえた。広東のおしんのような農民の苦難を描き、当初は血涙中華とか根(ルーツ)の題名で予定されたが大地恩情三部作となった。

 

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大地恩情主題曲

 

このドラマによって董驃、余安安、劉松仁ら、あるいは岳華や米雪ら電影から電視へ移行した俳優は地位を確かなものにしたといわれる。

 

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家在珠江第四話は1911年の広州蜂起からはじまる。6分10秒あたりから村で兄の帰りを待つ李賽鳳が登場する。

かつての大酔侠(1966)のヒーロー岳華が兄、妹が李賽鳳の阿滿でドラマ開始時はいかにも子供だ。

 

岳華は大地主の董驃の召使を妻にもらい祝宴が張られる。広東人飲酒の場面フェリーニ的に豊穣だ。阿滿は楊家の席で後ろ姿だけ映っている。

 

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しかし革命や洋化の波だけでなく飢饉、水害などが押し寄せ楊一家は澳門へのがれる。阿滿のもう一人の兄は、賣豬仔とよばれた海外移住労働者となる。

そして阿滿には、大地主の家に売られ幼な妻にされる運命が待っていた。家在珠江第三十二話。

 

李賽鳳はこのとき15才だが、すでにたしかな演技力をもっている。