黎莉莉

 

阮玲玉 (1991) では張曼玉が悲劇の主人公、劉嘉玲が黎莉莉を演じた。

どちらも摩登女郎(モダンガール)の代表格だったが、莉莉は健爽美を体現していた。

 

 

 

二人が共演した小玩意 (1933) でも、莉莉は短パン姿だ。

 

 

 

章子怡茉莉花開 (2004) では、1930年代の第一章で主人公が女優をめざす。孫娘の潘婕 が黎莉莉を演じた。映画的誇張はあるが、往時の魔都上海の雰囲気はしのべる。

 

 

 

莉莉が12才で加入した明月歌舞団主催者黎錦暉の妻で摩登女郎の一人であった徐来は、残春 (1933) で入浴場面を披露している。

 

 

莉莉が11才で初出演した武侠映画の燕山侠隠 (1926) では、主演の父銭壮飛の妹役だった。父親を「兄さん」と呼ばなければならないので笑ってしまい、そのたびにやり直しとなった。

 

歌舞団出身で歌も達者だったから、レコードをいろいろ残している。新鳳陽歌 (1934) がいい。

 

 

 

時局が険しくなるにつれ映画も抗日色が強くなっていった。主演した狼山喋血記 (1936) は狼の群れから村を守る話で、寓意はあきらかだ。これには藍蘋(のちの江青)が助演していて、文革時につるし上げられたさい「誰が出ているか見てみれば」と反論して難をまぬかれた。

 

1937年に日中開戦してからは、延安や重慶を拠点に抗日宣伝映画に出演した。