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9月に発刊された森安孝夫の「シルクロード世界史」で、ソグド人について新知識が得られた。
そのなかで、當麻曼陀羅に胡旋舞が描かれているとあった。奈良の当麻寺に原本のある綴れ織りで、損傷がひどくめったに開帳ダルシャンされない。そのかわりコピーが国内海外に多数存在する。オリジナルは唐製と推定されている。
転写であるため異動がはなはだしい。またネットでは大きな画像はあまりない。上に掲げた当麻寺所蔵で年一回公開されるコピーが鮮明だ。図の下部にあり、両脇に楽団、上部に飛天がいる。裸形の楽隊と二人の踊り子は小さく描かれ、衣装や表情だけでなく性別もはっきりわからない。諸仏は東アジアふうの顔立ちなので、おそらくそれに倣っているだろう。足元の円形は胡旋女が用いた絨毯をしのばせる。
ニューヨークのメトロポリタン美術館の江戸期コピーはさらに不鮮明で、暗黒舞踏集団に見える。
龍谷大名誉教授稲垣久雄主宰 Amida Net の THE TAIMA MANDARA に江戸期のコピーがある。これだと踊り子二人は有髪のようで、女性なのだろう。小楽隊は剃髪している。もちろんソグド人のおもかげはない。