2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

荷風マイナス・ゼロ (50)

中央 清水金一 右 堺駿二 シミキンの拳闘王(1947 松竹) 二人はオペラ館のスタアだった。 昭和13年(1938) 1月2日、11時すぎ浅草公園を過ぎるとき仲見世はじめ区役所通りの商店はまだ灯火を消していなかった。織るように人が行く。浅草広小路北側に並んだ屋台…

荷風マイナス・ゼロ (49)

ジョン・ラーベ ナチ党員だったが南京で多くの市民の生命を救った。日本軍の暴虐を記録したラーベの日記をのこした。 12月1日、暮れがた例の如く浅草公園に行き中西屋で夕飯を食す。公園の飲食店の中では珈琲も15銭なので万事上等の方であろう。オペラ館あた…

さよならマエストロ 進行

芦田の髪形は流行りのシースルーバングだが ドラマ終盤でデコ出し(アップバング?)も見てみたい。 今回も快調だった。西田敏行の回で悪目立ちすると困ると思っていたけれども、ちゃんとパートを演じていた。ほんとうに体調がよくないのか?そのかわり満島…

荷風マイナス・ゼロ (48)

オペラ館 10月4日、ある人の話ではかつて熱海のある旅館に共産党党員数名が宿泊していたのを、刑事ら大勢が捕縛に向かった。八月中のことだそうだが新聞には記載されなかった。党員はピストルを撃ったが弾丸が尽きてついに捕らえられた。一人の刑事が党員の…

荷風マイナス・ゼロ (47)

NHKたけくらべ 昭和12年(1937) 9月4日、知人から手紙があり池袋の飲食店は出征兵士送別会で日夜多忙だという。 9月5日、銀座四丁目から地下鉄に乗る。乗客の中に一人の女がいた。旅館の男物貸し浴衣に細紐をしめ平然としてその夫らしき男と話をしていた。男…

Eye Love You 大奥

初めての키스はつつましやかで、それはいいけれど二階堂がはっきりしないので話がはずまない。心の声でサランヘと聞こえたのだから、もう突っ走るしかないだろうに。 この話では超能力があまりうまく機能していなくて、設定をもてあましている。肝心のときに…

荷風マイナス・ゼロ (46)

昭和12年(1937)8月11日に上海事変がはじまり日中全面戦争となったあと、中国駐屯軍が北支方面軍へと編成された。そのとき司令官となったのは、中学時代同級で荷風をいじめていた寺内寿一だった。その後昭和16年に南方軍総司令官となり、日本降伏後に病没して…

さよならマエストロ 大奥キスシーン

今回も安定して面白かった。大人になった芦田の演技が見たくて踏みこんだ沼だが、各団員の個性もうまく描けているのであきない。今回は津田寛治と新木優子の出番で、ヴェテランの津田はいうまでもないが新木が役にはまっていい女っぷりだ。玉山鉄二のロッシ…

荷風マイナス・ゼロ (45)

アッパッパ 昭和12年(1937) 8月4日、「夕飯を喫し玉の井を歩む。この里よりも戦地に赴くものありと見え広小路の大通り提灯を提げて人を送るもの長き列をなしたり。」この月も吉原、玉の井、放水路、浅草、銀座の徘徊はつづく。 8月8日、「浅草に往き仲店裏今…

荷風マイナス・ゼロ (44)

荷風が吉原で取材もかねたお大尽遊びをしているあいだに、日中の全面戦争は目の前までしのびよって来ていた。7.7事変盧溝橋の交戦はまだ小規模なものだった。どちらが先に手を出したとかは、いまでも論じられるが本質的問題ではない。1931年の満州事変とそれ…

Eye Love You 좋아요

ジャージの若い僧侶が猛スピードで、誦経しながら坂道を自転車で降りていった。春風は人を感奮させる。 Eye Love You 第四話は、登場人物たちの言葉と心と出来事がほどよくすれちがっていって面白かった。 この胸キュンは作劇の巧みさか、単に体温が上昇した…

荷風マイナス・ゼロ (43)

北京市豊台区盧溝橋 昭和12年(1937) 7月4日、「姪光代没す。」次弟鷲津貞二郎の娘で、荷風は子供のころからかわいがっていた。 7月5日、「水天宮の賽日にてにぎやかなり。裏門外道路の上に癩病の乞食数人座するを見る。日本固有の生活状態なればひそかに携帯…

荷風マイナス・ゼロ (42)

左上三ノ輪浄閑寺 南吉原 東山谷泪橋 昭和12年(1937) 6月16日、夜家を出て北里におもむこうとするが電車がすでにない。円タクに乗る。京町一丁目品川屋に登って宿する。品川屋はむかし揚屋町にあった茶屋受けの店だったが今は並みの小格子となった。現在の場…

さよならマエストロ

芦田に笑顔がもどってくる回だった。まだ明かされていない細かいいきさつはありそうだが、根本的な事情はわかった。娘は父親の背中を追ってきたつもりだったのに、父のように内部から音楽が湧き出る人間ではなかった。ただヴァイオリンが上手くなっただけだ…

荷風マイナス・ゼロ (41)

吉原 1932年(歴史写真会「歴史写真(昭和7年8月号)」) 昭和12年(1937) 6月2日、薄暮銀座で飯、北里(吉原)に遊び彦太楼に登る。かつて九段上の妓街で見知った女が娼妓になったのに逢う。その女の話を聞くと芸妓から娼妓に転じた女がまだニ三人この家にい…

荷風マイナス・ゼロ (40)

曲馬団の「トッテンカン」(下村千秋 1928年) 下村には玉の井、亀戸の私娼窟をモデルにした天国の記録 (1930年)がある。 昭和12年(1937) 5月1日、「夜墨堤散歩。初めて言問の団子屋に憩う。セメント造にて一見共同便所の如し。長命寺さくら餅を売る店もまた…

大奥 Eye Love You

法事を抜け出し、町娘に姿を変えて縁日を歩く。暴れん坊御台所の世界観で、むかしむかしの東映時代劇を継承しているのか。髪型はどうやって直した黄八丈はどこで着替えたとか気になるようだと、ワンシーンで三回衣装を替えるインドミュージカルは楽しめない…

荷風マイナス・ゼロ (39)

濹東奇譚 木村荘八画 昭和12年(1937) 4月2日、「燈刻銀座にてW生に逢い共に濹東を歩みてかえる。」 4月3日、母危篤を伝えにきた弟威三郎を、居留守を使って帰す。 4月7日、洲崎に行った。大門外の掘割に沿って歩いた。空き地に捨てた塵埃をかきわけ物を拾う…

荷風マイナス・ゼロ (38)

荷風が愛用したローライフレックス・スタンダード 昭和12年(1937) 1月2日、浅草観音に詣でておみくじを引いた。境内には夜店がつらなり、活動館はどこも満員御礼の札をかかげていた。数年前のさびれかたとは似もつかぬ、好景気だった。銀座に行き喫茶店に入…

荷風マイナス・ゼロ (36)

12.12西安事件 昭和11年(1936) 12月3日、「燈刻渡辺夫妻(3P仲間)来る。共に富士見町に往きて飲む。夜半帰宅。」 12月7日、「午後土州橋の病院に往き、それより葛西橋に至る。写真撮影二三葉なり。境川停留場より五ノ橋通りにて電車を降り、三ノ輪行きのバ…

マエストロ 大奥

第四話は音楽場面に取りちがえの喜劇をまぶした、秀逸な回だった。心にやましいことがあると音が乱れるという妄言を信じて、セビリアの理髪師演奏中に指揮者が間男さがしをする。演奏者の顔をひとりひとりのぞきこみ、眼と心の声でコンタクトをとる。「浮気…

荷風マイナス・ゼロ (35)

日独防共協定調印 11月2日、「明日天皇陛下某所へ行幸の由、今夜玉の井の路地裏には隅々まで刑事入り込み随時女の家に来たりて客を取り調ぶるはずなり。陛下御外出の前夜は志士その他類似の凶漢玉の井亀戸吉原等に一泊し未明に立ち退くが例なればその夜は必…

荷風マイナス・ゼロ (34)

玉の井は現在の東向島5丁目あたり。空襲で消滅し、いまは痕跡もない。 昭和11年(1936) 9月7日、暑いので夜隅田公園を散歩した。芝生、腰掛、池のほとりなど所を選ばずほとんど裸体にひとしい不体裁な身なりの男が大の字なりに横臥しているのを見る。これは不…