スターリン様式の未来

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この懐古的未来映像では、スターリン時代のソヴィエトのシンボルがふんだんに出てくる。高い尖塔をいただく、重々しく分厚く長大な摩天楼。巨大な男女の像、火星に立つのはレーニンだろうか。たくましい勤労男女などなど。シンボルとしての赤い星だけでなく惑星そのものが赤い。

またその基層には、東方のローマ帝国であった帝政ロシアの面影も感じられる。ビザンチン式に巨大な会場、壮大な儀式。人々はみなローマ的鎧や制服を着ている。スターウォーズの帝国スターシップもあるが、さらに巨大な宇宙船はやぼったく頑丈だ。

リンチの砂の惑星は、ハプスブルク帝国風味が魅力的だった。ここでのスターリン様式は西欧亡命革命家たちを排して権力を握った、グルジアの神学生ジュガシヴィリの好みに合うものだろう。

2時間以上あるが、十数分の映像のくりかえしだ。ほんとかどうかわからないが、作者の発信地はウクライナになっている。

 

 

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以前紹介したRetrofuturaは、アルゼンチンが発信地だ。ブエノスアイレスは、南米のパリと呼ばれていた。帝国ですたれたアールヌーヴォーが、周縁で保存されよみがえった姿だろうか。

 

 

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Retrofuturaの新しい作品では、コロニアルインディアを未来に再現している。ヴィシュヌの蓮が空に遍在し、鉄道は狭軌だ。

 

 

 

メリーベリーラブ (3) 

 

バカみたいなラブコメを、バカになって喜んで観ている。

 

 

 

新従業員チ・チャンウクは納屋に泊めていたが、雨漏りがひどくて母屋を貸した。下心がすでに芽生えた今田が、寝顔をながめていると目が合う。

 

 

 

会話はスマホの翻訳で。場面がつづくと、設定はなかったかのようにふつうに話をしている。

 

 

 

ひとつ屋根の下に住まわせる条件を定める。ラブコメのお約束だ。

 

 

 

 

床についてから後悔する。もんもんとして眠れない。

 

 

 

朝食はなぜか夫婦茶碗だ。

 

 

 

福岡のフェスティヴァルに島で参加するため、市内に買い物に出る。新婚とまちがえられて内心うれしい。

 

 


チ・チャンウクは元デザイナーなので、いろいろとうるさい。高校の文化祭みたいなことをやっている。

 

 

 

福岡いちかわいい子だったころの回想。

 

 

 

初恋の相手に手をにぎられて、気絶してしまう。びびった相手には逃げられる。ネムリンとあだ名がつく。

ナルコレプシーと診断されたのか。イチゴ畑で倒れたのも毎朝クスリを飲むのも、わざとらしいスマートウォッチもそのためだった。とりあえず手術とか余命は、気にしなくてよくなった。

 

 

 

縁側で話しているうちに、見る見る落ちそうになる。フォーリンラブか。

 

 

 

眠りに落ちた。これは眠り姫の物語だった。

南田南

 

 

初出勤まえに笑顔の練習をする。

 

つまらなくはないが人物紹介の回で、芦田や山口馬木也はよい演技なのに可もなく不可もない出来だった。翻訳翻案ドラマだが、ふたつやりそこねている。

思ったより平凡なのが意外で本家を観てみると、まず冒頭で幼児の主人公が天才であることが発見される。そのきっかけとなった老夫婦が、ドラマならではの偶然で初担当事件の当事者として再登場する。これで解決にカタルシスが生まれ、エピソードとしてまとまっていた。

 

 

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日本版はまず初出勤からはじまり、いろいろあって事件にたどりつきさらに幼時が回想される。このため話の焦点がぼけてしまった。芦田を最初に出したかったのだろうが、回の構成としては翻案ミスだ。次回に期待したい。

 

 

 

 

 

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あいさつまとめ。

 

 

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唯一の親友とのあいさつだが、日本版はおとなしい。もっと思いきってハデにやらないと、ユニークで愉快な場面にならない。

主人公は他者との社会性の獲得に苦労してきただろうが、この友人だけは特別であることがよくわかる。そこを翻訳しそこねている。

 

本家の友人の愛称はトングラミで、the ウ to the ヨン to the ウ、the トン to the グ to the ラミ ハッ!と語呂があわされている。これを日本名でダイナミックにやるのは、むずかしいにちがいない。この場面にあわせて、役名を考えればよかった。

そもそもこういうあいさつないし身体言語が、日本にはないのではないか。あるとしたら、オチャラカホイのような手遊び歌だろうか。

 

 

 

さすがキムチビンタの国だと感心もする。これは翻訳不可能だ。

圣黛CP

 

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斉天大聖孫悟空と紅楼夢の薄幸のヒロイン林黛玉をカップリングするAI短劇は、聖黛CPと呼ばれさまざまミームが生まれている。

 

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キャラの下敷きに使われているのは、86年版の西遊記と87年版紅楼夢だ。後者は松井玲奈似で古風な顔立ちの、陳暁旭が林黛玉を演じて決定版とされている。

 

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林黛玉はいじられキャラで、これまでにも最強林黛玉記事で紹介している。当時の動画はほとんど消えたが、かろうじて生き残った黛玉大战唐三藏で面影は偲べる。

 

病弱ツンデレでジト眼の黛玉を暴れさせたり無法無天の悟空とカップルにしたりするのは、抑圧された古代女性に自由に生きてほしいという願望のあらわれだ。

 

この圣黛CP映像が、9月ころから大量に削除されるようになった。さらに10月になって人民日報と環球時報に記事が出た。プラットフォームによるAI泥水の粛清か、当局の意向が先立ったか両者の関連は不明だ。ただ当局もAI魔改に対する議論を紹介するだけで、立場を示しているわけではない。

 

Tik Tokなどは削除派だったが、ビリビリは見捨てられているのか映像はそのまま残っている。

実写かAIか

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パク・ウンビンの演技を見ると、とてもかなわないと思った。芦田愛菜は神童だったが、その後の経験値の蓄積に差があるのだからしかたない。しかし芦田版の長めの予告が出ると、これはこれで魅力がある。幼さ小ささが、別の好もしい個性を生んでいると感じた。少なくとも芦田ファンには、受け入れられるだろう。

 

それにしても自閉症の天才という紋切り型は、いいかげんやめたほうがいい。ただの変わり者で十分なのに、非科学的な米国の分類表にふり回されている。

寅さんを境界知能のヤクザとか呼んでも、なんの助けにもならない。

ダスティン・ホフマンのレインマンがわるいのだが、あの作品では自閉症ではないと当人にいわせていた。最初から逃げを打っていたのだ。

それがもてはやされつづけたのは、歌舞伎の子役と同じで演技の型をつくりやすいからだろう。大根に自閉症を演じさせたがるのは、そのためだ。

それはそれとして、パク・ウンビンは卓越した演技力でウ・ヨンウを愛すべき人格として成立させていた。芦田版も成功すればいいが、周囲の演技にもかかわることだ。

 

 

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しかし、もっと強力なライヴァルが存在する。芦田のもうひとつの話題作である、薬屋のひとりごとのMVが出た。よくできているが、すべてAIだ。いかに配信ドラマでも、実写でこれを超えるのはむずかしいのではないか。

 

 

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これもおなじ作者による映像だが、主人公の性格がとてもよくわかる。この芦田愛菜に、本人が勝てるだろうか。

 

 

 

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右からも左からも叩かれそうな、サーイー・パッラヴィのラーマーヤナが気にかかっている。ランビール・カプールと共演だから、ディズニーファンタジーみたいなものになるのだろう。

この一足先に出たMVもやはりAI制作によるもので、本編とはかかわりがない。

 

 

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では実写はどうかというと、こちらもAIモリモリで役者はほぼグリーンバックの前で演じているだろう。それなら人物も肖像権だけ得て、AI制作してもかわりはないのではないか。

 

 

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もっとすごい、マハーバーラタの実写版キャスティングが発表された。

ラーム・チャラン:アルジュナ、リティク・ローシャン:カルナ、プラバース:ビーマ、ラジニカーント:ドローナときてマードゥリーがクンティーなのでヒエッとなった。おまけにチランジーヴィ:ビーシュマ、マヘーシュ・バーブ:クリシュナだ。

そんなの不可能にきまっている。ギャラだけで天文学的数字になるが、これもAIによる架空の予告なのだった。

 

 

メリーベリーラブ (2)

 

第一話でたわいないと思ったが、さらに観ると中味がない。補助金の資格が畑を荒らされてピンチになったのに、もうそんなことはどこかにいってしまったようだ。そのかわり農地取得のために、男が今田農場の作業員になる。

日韓合作でよかったのは小芝風花の「私の夫と結婚して」だけで、あれは配信ドラマだった。地上波ドラマは駄菓子だから、一流の制作陣は来ないようだ。韓流のラブコメは、もともとこの程度なのだろうか。今田にヒワイなことを口走らせるあたりは、韓国風味を感じさせる。

 

しかし細部はともかく今田美桜はすてきだし、相手もいい男だ。なによりふたりが徐々にひかれあっていく、流れははずしていない。波乱があるとしたら今田が毎朝のむクスリで、怒涛の難病展開になるのか。大きな茶色のビン入りだから、ビオフェルミンかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴォルガ・ブルガール旅行記 (2)

 

イブン・ファドラーンは、921年6月にバグダードのホラーサーン門を発った。門はホラーサーン街道の始点なので、その名で呼ばれた。現在のMiqdadiyahあたりのAl Daskaraで宿泊し、メソポタミア平野をはなれザグロス山脈に踏み入り古代都市Hukwanをめざした。同所はイランのSarpol-e Zahabに相当する。

そこからケルマーンシャーに向かった。旅行記は地名の羅列がつづくだけだが、同書注解によれば10世紀のキルミースィーンは、「流れる水と濃い樹木に囲まれた心地よい町で、果物類が安く、あらゆる商品が豊富であった」。

そこからハマダーン(古代のエクバタナ)、サーヴェSawah、現代のテヘラン郊外にあたるAl Rayyに道を進めた。

 

 

 

 

Al Rayyでは、土地の親分(スゥルーク)の旅からの帰還を待って長居した。次いでSimnan、Damghan(上地図のQumis)に進んだ。ダームガーンではシーア派イマームの派遣軍から身を隠し、キャラバンにまぎれて旅をつづけた。当地ではアッバース朝傘下のサーマーン朝とシーア派の抗争が起きていた。

ダームガーンを過ぎると、Bastam(上地図Badhashあたり)からホラーサーンに入る。

 

 

 

 

 

高地荒地を東漸し、ホラーサーンの大都市のひとつネイシャーブル(ニーシャープール)にたどりついた。