薬神

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wiki : Kajuraho

 

中国と天竺が手を組んで欧米を駆逐したらいいと思っているのだが、なかなかそうは問屋が卸さない。どちらもポンコツなところがあるからだ。ことに女性にとって前近代社会は悪夢だろう。人口の半分が味方がでなければ、勝ち目はうすい。

 

中国映画「薬の神じゃない!」は、ハリウッドが量産するプロパガンダ映画みたいな作品だった。カーチェイスまで始めるので、ほんとに映画館から出たくなった。

ただあつかっている問題は重要で、インドの薬問屋から白血病の高級ジェネリック医薬品個人輸入した男の運命を描いている。実話にもとづくとうたわれているが、実際の陸勇事件では当事者は住民の抗議で無罪になっている。もちろん車の追いかけっこはない。

 

著作権のゆるいインドは、ジェネリック医薬品の第一人者だ。それが貧乏国の助けになっているが、そもそも中国は貧しいかというとむしろ対インド関係、対先進国貿易関係、社会保険問題などが足かせになってオムツのように爆買いできない事情があった。命にかかわるハイエンド商品で、先進国が暴利をむさぼっている前提もある。

それら多岐にわたる事柄を映画化したのは国策としてのゴーサインで、とりあえず中国人患者やインドの薬屋にとってよいことにちがいない。

 

カジュラーホーの彫刻群は10世紀あたりの作品だが、半世紀前のメイプルソープやデューローの性表現の千年先をいっている。天竺が先進国だったからだ。かつての金持ちは一度落ちぶれたが、中国がふたたび頭をもたげてすでに冷戦がはじまっている。コロナの照魔鏡のまえには、資本主義も世界市場もはかないものであることがあらわになり偽善の建前がはがれつつある。

だれが覇権をにぎっても世界の構造はかわらないが、ちがう景色を見たい。