嵐が丘もうひとつ

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インドの嵐が丘記事で Dil Diya Dard Liya (1966)を紹介しているが、同小説の翻案として Dillagi (1949) がある。監督は1966年版と同じ A.R. Kardar で、こちらが先行作だった。

あくまで翻案で、ディケンズの小説がさまざま元ネタとしてアジア映画界で使われたのと同じ現象だろう。笛吹きの流れ者が勝気な村娘と恋をして、親族の妨害で悲劇にいたる話で嵐が丘の骨格だけ用いた感じだ。Heer Ranjha にも似ている。

映画そのものは、66年作より素朴で味わいがある。作曲家Naushad は、村娘の踊りにタンゴを使ったりしている。

この時代の作品らしく12曲あり、歌は役者自身による。キャサリーンのSuraiya は子供歌手として出発し、Taj Mahal (1941)  でムムターズ・マハルとしてヒロイン・デビューした。

ヒースクリフShyam は作家マントーの友人で、2018年映画マントーにも出てくる。

 

A.R. Kardarは1932年版の Heer Ranjha のほか、数多くヒットを生み出している。

監督はオーディションで女優を水着(下着?)にしている写真が近年発掘され、そのころのキャスティング・カウチの例証とされている。見た限りでは現代のコンテストやオーディションでの水着審査も、後世になって同様に理解されると思った。

 

tube の Dillagi は、 Aalam Ara (1931)の名でupされているものがある。植民地インド初のトーキー作で、日本の「マダムと女房」と同年になる。プリントは現存しない。視聴者を釣っているのだろうが、Dillagi 自身は良作だ。