今回はトリックがあって、オチを知ったときはそんなバカなとしか思わなかった。これは脚本家が幻の湖に落ちたかなと考えたが、反芻すると話のすじそのものは通っていてひとりよがりなわけではない。
演出がもう少しはっきりと手がかりがわかるように撮っていれば、トンデモな後味はなかっただろう。
しかしそれで納得できたとしても、つまらないではないか。この「そんなバカな感」が残ることが趣旨で、制作がオリンピック裏でヤケを起こしたわけではないだろう。
アイデアはインフルエンサーの山本美月がアシスタントの東野絢香と入れ替わるというところにあって、とんでもなく思えるのは山本の唯一無二の存在感にかかっている。
山本といえば桐島ではどう見ても橋本愛と銀座のナンバーワンツーで、おまけに松岡茉優が東出昌大をたらしこんでいて上位カーストの偏差値が高すぎるといいたくなった。
しかしその無二性もこのドラマでは、整形と加工で置き換え可能な人格になっていた。正確には余命を知った山本が、東野に名跡を継いでもらいたいためにみずからもちかけた話だった。
画像は数少ないふたりが並んだ場面で、体格はほぼ同じであることが見返してわかった。これなら整形でなんとかなるというものだ。ましてyoutuberだから、加工もできる。
小芝と大島はあくまで進行係で、主役は身元と人格をさがされる相手だ。今回は人情ばなしですらなく身元そのもの、アイデンティティーが主題だった。道理で小芝のいいショットをさがしても、波よ聞いてくれや大奥のような絵になる場面がないはずだ。