行儀よく真面目なんてできない岡部たかしが、夜のスタジオでセットを壊してまわったので笑ってしまった。カラオケの伏線があったし長澤は覚醒するのだろうが、こうなるとどんな終わりかたでもよくなってきた。
冤罪と連続殺人事件の追及が進まないまま、女性秘書への暴行と証言者の謀殺があらたに浮かび上がって風呂敷がずいぶん大きくなった。
ハッピーエンドなら元恋人が実は逆スパイで悪は一網打尽、最後はウェディングシーンでゴードンがブーケを取る。
長澤が飲んでいる向精神薬が切れて夢から目覚め、きみはきみのままでいいんだよと周りが拍手して終わる。
赤い部屋で瑛太がツイストを踊るのをゴードンが見る。
何でもいいのではないか。
冤罪問題が題材にしては、死刑囚の苦しみがまったく描かれない。犯罪捜査としては、つねに相棒にしてもらえない六角弁護士が不憫だった。あちこちに穴があった。
それでも脚本の話術と演技は巧みなので、もっぱらゴードンと長澤の化学変化を見守って楽しんできたが進展はなかった。
駄作ではないが、結末が白黒灰色どちらに転んでも失敗作だろう。
長澤の苦悩や葛藤が、共感を得ると勘違いしたのではないか。実際は残酷な神のジェルミのように、キャラとしてまるで動かなかった。業界への告発だとしても、すでにTVばなれの時代になってしまっている。