パーキスターン映画 ボヴァリー夫人

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Neeli主演の1989年作品Madam Bawariは、解説にもあるように小説とは関係ない。スキャンダラスという一点に、100年前の作品の名を借りた製作者の意図があるのだろう。

映画はマダム・ボヴァリーと呼ばれるダンサーのニーリーが、一家の仇の三人の政治家に復讐する話だ。前半は偽警官のJawed Sheikhと手を組んで元ギャングの政治家たちに近づいて翻弄し、真ん中あたりで不死身のヒーローであるスルターン・ラーヒーが登場してお決まりのアクション映画となる。

 

77年クーデター後ウルドゥ映画は衰退し、80年代パンジャービー映画は農村を舞台に流血と栄養満点で踊れるパンジャービー娘にいろどられたが現実との接点はなかった。しかしズィヤーウルハック将軍のイスラーム厳格主義政治は、88年の死によって終わりを告げ混沌の時代がはじまる。

マダム・ボヴァリーはモデル体型のニーリーを主人公に都会の腐敗を描き、80年代インド映画にも似ている。ウルドゥ・パンジャーブ語それぞれの版が製作され、かつての都会的ウルドゥ映画とパンジャービー暴力映画を接合させた作品となり大ヒットした。2言語版製作が流行となった。皮肉にも、そこからパーキスターン映画そのものの衰運がさだまったといわれる。