八索

f:id:moonleex:20200105220750j:plain


楊紫瓊で最近おもしろかったのは「クレイジー・リッチ!瘋狂的亞洲富豪」だった。原作小説の題名は富豪でなく土豪だったが、映画公開にあわせて変えたようだ。土豪だと成金の意味になる。
画面には成金風味もあふれているが、舞台はシンガポールの旧家で話の主軸は母と嫁候補の争闘だった。資産のあるものがファミリーと相続を守ろうとするのは国や文化にかかわりないことだから、アジアに限らない話といえるだろう。 

楊紫瓊はさすがの貫禄と実力を見せた。
といっても女同士が功夫を競うのでなく、たたかいはテーブルの下で蹴りあう心理戦として展開する。それは終盤の麻雀で結局するが、切り札となった八索が気になった。
麻雀戦は原作にない。楊紫瓊が単純なTiger Momとしての性格付けを拒否したので急遽考え出された場面だったという。

 

f:id:moonleex:20200105220850p:plain


麻雀も中国もよく知らないので八索の含意は不明だ。監督自身「この対局の意味は中国人にもわからないだろう。」と語っているので、こちらがわかる道理も筋合いもない。

母と嫁候補は同等の知力をもつ対手だ。ただ楊紫瓊は家門のため学究生活をあきらめたのに、教授である嫁候補は中味が美国人だからエゴを捨てないだろうと決めてかかっている。
男は家も女も捨てられないお坊ちゃんだ。ゲーム理論専攻の女は、どちらが賢いかを麻雀対決で決めようとカイジ的展開になる。
そこで八索になるのだが、これは調べてもわからない。

でも引っかかった小骨がしゃくだ。牌の緑色が意味をもつのは明瞭だ。楊紫瓊はいつも緑を着ているし、指輪はエメラルドだ。これは要求をあらわし、それはかなうことになる。しかしなぜ八だ。

このサイトでは八はめでたい数字だからと説明している。中国では新年あいさつである恭喜發財の發に通ずるので縁起がいいらしい。
また心理も解説しているが、この闘いは感傷の入る余地のない頭脳戦だと思う。あいにく詰めにいたる論理はわからないのだが。ただ麻雀のことなどなにもわからなくても、この対局はたいへんおもしろく大団円にふさわしい。

 

八ついでにいえば友都八喜はヨドバシカメラのことだそうだが、さしあたって関係ない。
日本だとパーソーはパンツとかM字開脚とか品下る呼びかたがあるようだが、これもお門ちがいだ。
MWをMotherとWifeと指摘した動画コメントがあった。そこまでこじつけられるかとは思う。

八索九丘という成句があることも知った。これは失われて名のみ残る古代の書物の名で「おまえはまぼろしを追っているのだよ」と諭されたのかもしれない。(オチは禁止)

f:id:moonleex:20200105220939j:plain

 より詳細な麻雀心理解説記事