ハラワマラワ

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西アーザルバーイジャーン州のブーカーン郡Bukanに住むモハンマドさんが、ノウルーズの買い物をしている。お菓子や卵などだ。モハンマドさんはイラン西北部コルデスターン州近くの川沿いの地で、野菜農家を営んでいる。年の七か月はブーカーンで営農し、残りは故郷の村で暮らすという。

 

卵は玉ねぎの皮といっしょに煮て色付けし、絵を描く。準備ができたところに子供たちが、ハラワマラワhalawah malawahといいながら家を訪ねてくる。そこで菓子や卵を袋にいれてやり、つぎつぎやってくる子供たちをもてなす。

 

これはイランのクルド衆の習俗で、ハラワとマラワはアラビア語の甘いお菓子のことを指すのだろう。ハロウィーンに似ているが、東アラビア起源でこちらのほうが古い。

つげ義春の「ほんやら洞のべんさん」に描かれた魚沼の鳥追い祭では、子供たちが「ほんやらほんやらほーいほい」と歌いながら村を歩いていた。

 

 

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おなじモハンマドさんの家でのノウルーズの飾りつけとごちそうの調理、一族そろっての会食の映像。

モハンマドさんチャンネルの人は英語ができて他の言語も心得があるようなので、留学か移民の経験がありそうだ。

 

 

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クルド衆は山の民で、たぶんそういう土地が性にあっている。

この映像を見ると実感できる。広い天地が自分のもので、外敵を寄せ付けない。豊かではないが、下界の影響もあまりおよばない暮らし。見ているぶんにはリラックスできるが、都会人は三月ともたないだろう。

 

モハンマドさんも自分をNomadと称している。ただ現代のクルド衆は定住が主流で、伝統的な遊牧民ではない。牧畜民は車で家畜を夏冬移動させている。クルド農民も農繁期は平地にいて、閑季は帰村するノーマッドだ。

最近は移動部族民という訳語を使うようだけれども、攻殻機動隊みがある。渡りのクルド衆とかはどうか。

 

 

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コルデスターン州Hawramanウラーマーンのノウルーズ。イラク国境近くだ。テヘランのショッピングモールにつどう人たちとは、生活様式がまったくちがう。サフランボルのミドリも市のはずれの丘に住んでいて、坂の多い暮らしの雰囲気がなんとなく似ている。

クルドは音楽性が豊かだが、こうした村落共同体の生活の閑暇が芸能を生み出すのだろう。踊りは複雑なステップのフォーメーションダンスで、足がそろわないとくずれる。観て楽しむよりは参加して共感をあじわうものだ。たいまつをかかげて祭を高揚させていく。

 

 

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コルデスターン州のدولاو ドゥラウは、Hawramanから南東に山を越えて50kmほどのところにある。パシュトゥーンのように布をふり、アラブのダブケのように鎖をまわしている。

 

 

 

赤いしるしはHawramanもしくはウラーマーン。東北にラシュト、北にブーカーン、まん中の黒線がイラクとの国境だ。

平和そうなイラン・クルド衆の暮らしだが、山を越えた西は戦国時代でイラク北部のクルド自治政府はイランやイラクの仇敵である米国をバックに割拠している。シリアのクルド支配地域も同様だ。