カラーシュの谷の羽根付帽子

 

カラーシュの人々が住むのはパーキスターン北部、ハイバルパフトゥンフワ州のアフガーニスターンに接する谷あいだ。男たちは平たいパシュトゥーン帽Pakolをかぶるが、女たちは祭の日に羽根付帽子を着用する。パーキスターンではおそらくここだけの習俗だ。

 

 

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これはこのブログでかってにアナールカリー帽と呼んでいる、4000年前から中央ユーラシアで用いられているものに似ている。

ただ羽のついた帽子ならチロルの男たちもかぶっているし、アナールカリー帽として歴史性が証明されたものではない。

 

 

 

カラーシュの谷はイスラーマーバードからバスで8時間と地図にはあるが、非常な難路をたどらなければならない。

ハイバルパフトゥンフワ州はアフガンの名高いワーハーン回廊をはさんで、20kmほど北にタジキスターンがある。かの国々に羽根付帽子はないようだ。

またカラーシュの人々はイスラーム化をこばんで、先祖伝来の独特なアニミズムを信奉している。ヴェーダ教神話に類するとの説もある。さらに昔は周辺を仏教大国にかこまれていたが、その影響もうかがえないのは険しい地理的環境によるものだろう。

 

 

 

赤印がカラーシュの地だ。北のワーハーン回廊の東が新疆タリム盆地西端となり、タクラマカン砂漠の東端に最古のアナールカリー帽が発掘されたロプノールがある。

隣州ギルギット・バルチスターンのフンザでは、ブルシャスキー語と呼ばれる系列不明の言語が使われている。ドラヴィダ語やインド・イラン語以前の言語と考えられている。山と谷で分かたれた北部地域では、先史時代からの古俗が保存されているようだ。

 

 

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バイク乗りのアブラール兄もこの土地を訪れている。険しい道のりだが、それなりに開け宿泊施設もある。

観光地化には問題も起きているとの記事