黄杏秀

f:id:moonleex:20191217223412g:plain

「飛虎相爭」(1977)で詠春拳の祖、方詠春を演じる。


黄杏秀はTV局訓練生あがりで、功夫の修行を積んだわけではない。型はこなせるが、真の強打者でないことは歴然としている。
それでも武打星の一人に入れるのは、好きだからだ。こればかりはしょうがない。

 

f:id:moonleex:20191217223457j:plain

田一族の娘田芝芝

「蟷螂」(1978)がすばらしい。血滴子で悪名高い雍正帝に父親を人質にとられた姜大衛は、反清勢力の拠点と疑われた田家荘に密探として潜入する。反逆の証拠をつかまなければ父親は殺されてしまう。

f:id:moonleex:20191217224059j:plain
首尾よく一族のわがまま娘である黄杏秀の家庭教師となり、おまけに恋愛関係になる。長である祖父はその正体を見抜いてしまうが、孫娘かわいさに田家荘にとどまることを条件に婚姻が認められる。婿ではあるが、家を出たら殺される。

f:id:moonleex:20191217224157j:plain

父親処刑の期限が近づき姜大衛は脱出をはかり、黄杏秀は決死行を共にする。母も若夫婦の側に付き、屈強な田一族をひとりずつ突破していく。しかし最強の敵である祖父が立ちはだかる。

f:id:moonleex:20191217224252g:plain

 

劉家良得意の家族功夫劇だが、葛藤と対立の構図があざやかだ。初々しい恋物語が血みどろの争闘に変わる。善も悪もなく立場の違いと衝突だけがあり、誰が傷ついても悲劇が残る。功夫の質は最良ではないかもしれないが、劉家良の最高作だろう。
なんといっても黄杏秀がいい。杏のような目、アジア的に高からぬ鼻、強くはない功夫、恋する前半、一族と対決する後半、それぞれに印象が残る

 

おまけ

f:id:moonleex:20191217225433p:plain

「蟷螂」練習風景

 

f:id:moonleex:20191218091631j:plain

「飛虎相爭」

 

f:id:moonleex:20191217225513j:plain

初期の主演作「新蘇小妹三難新郎」(1976)

黄杏秀