T-Rex 文化祭

Ms Luna チャンネルでは、少年少女たちがレックスに追われる動画を延々とupしている。去年の11月からはじめ更新の度合いがすごくて、1時間ほどの映像をほぼ連日上げて139本にもなる。

CGも編集も演技もいまいちで、つづけている割にはあまり進歩のあとはみられない。変化しているのは追われる顔ぶれだ。1時間といっても10分ほどの短編をつなぎ合わせたもので、話はどれも似たりよったり。

 

 

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比較的出来がいいのが、このクリップの冒頭の短編だ。Ms Luna 本人が主演で、男の子とふたりで貨物駅のプラットフォームを逃げ回っている。ほとんどの作品は林の中で追いかけっこをするのだが、これはめずらしく貨物列車を利用して追跡のサスペンスが生まれている。

Ms Luna はヴィエトナム人と名乗っていて、実際に駅には国旗がたなびき壁にはヴィエトナム語が書かれている。他の作品でもヴィエトナム式鳥居が遠景に映っていたり、福禄寿と書かれた水槽が見えるのでほんとうに自国で撮影しているようだ。サムネのコングや蛇は釣りで、出てこない。

 

 

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やはりMs Luna が主役の18分の短編。「スズメバチ注意」みたいな、T-Rex出現の警告ポスターがある雑木林で追いかけっこをする。使用しているのはThe Bart Artというプログラムだ。

 

これら同工異曲の作品群を見ていると、作品というより少年少女の終わりのない文化祭のようだ。出演者たちがT-Rexごっこを楽しむのが、趣旨のようにおもえてくる。

もしかしたら Ms Luna が出演者たちから出演料を取る、ネットテーマパークなのかも知れない。入場者は女の子(Ms Lunaだけど)の手を引いて逃げたり、水鉄砲の小銃を撃って英雄的な自己犠牲をとげたりを嬉々として演じているのではないか。

 

 

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Ms SandyチャンネルはMs Lunaより先発で、去年の9月に開始して2億回ちかく視聴されている。Ms Luna の10倍にあたるが、登録者はおなじくらい。こちらもヴィエトナムで、このチャンネルの成功を見て Ms Luna は番組をはじめたのだろう。

こちらには、作品として完成させようという志向が見える。各回25分ほどだが、実質は短編の3本立てで Ms Luna とかわりない。ただ毎回ちがったストーリーを作っているし、編集もちゃんとしている。恐竜の種類もおおく精巧で 、小道具の銃も本格的だ。役者はドラえもんの四人組のような若者たちに、物語によって大人がまじる。

 

 

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Satyendra Skatingチャンネルはインド製だが、やはり上の Ms Sandy に触発されてはじめたようだ。

こちらは3分間と短く、視聴も千回前後といったところ。インドの田舎で毎回主役の男の子が逃げ回っている。

 

まだ数えてはいないが、このジュラシックごっこは世界的にかなりの流行になっているのだろう。