Eye Love You  大奥 マエストロ

 

さっそくエロがらみになってきたが、あくまでコメディーだ。二階堂の演技は場面ごとの効果でなく、話全体の中でキャラが一貫するように組み立てられている。何の事件もないドラマなのに、二階堂を見ているだけでおもしろい。

二階堂が人の心を読めるのは、ラッコを助けようとして北海に飛びこんだのがきっかけだった。男はときどき腹が立つが、実は男はラッコの恩返しで現れたとネットに秀逸な見立てがあった。そう思えばブリッコ演技もがまんできる。

 

 

 

小芝はスマホをいじっているみたいだが、面倒くさい将軍の面倒くさいプレゼントを見ている。

衣装や細部(付き人にお尻を拭かせなければならない)などは、時代物らしく詳細だ。小芝とともに悲鳴をあげたくなる。しかしこのドラマの問題点は、かんじんの権力構造がはっきりしていないことだ。大奥取締りや老中のほうが、最初から妃や王よりえらそうにしている。だから宮廷権力劇の醍醐味である、陰謀も面従腹背もありはしない。正面きっていじめているだけだ。フジサンケイ反動グループの番組だから、日本王室をあてこすっているのか。

中国時代劇のように幽閉された謎の人物がいるので、将軍は偽物なのかもしれない。小芝の御台所も勝気でヒャッハーな気性がかいま見えるから、偽姫ならおもしろい。

 

 

 

第三話は、アマチュアとプロの若者の対立と和解がテーマだった。脚本演出役者ともども、納得できる話にするには荷が重かったようだ。なぜ急にケンカするのか、競演を通じて理解しあうようになれたのかがよくわからない。猛練習したとか、ポップスと古典の背景のちがいが音であらわされたとかが必要だった。

音楽ドラマで音楽そのもので心理を伝えるのは、成功例をあまり見たことがない。だから、のだめなら玉木宏のイケボが心の声で演奏を説明してくれた。おかげで、千秋カンタービレになってしまった。

芦田西島がやはりうまくて、他の共演陣もわるくないのだが今回ははずれ。