せまい曲がった道を人々々が歩いている。バイクがどこにでも入りこんでくる。トルネコがたくさんいる。1時間以上にわたって商店がとぎれることがなくて、アメ横と秋葉原が無限ループしている。撮影者はオランダ人で、画質はいいが機材が古く映像が上下にゆれる。倍速で見るとジョギングしている気分だ。
ここはパンジャービー新喜劇の本場、パーキスターン第二の都市ラーホールの旧市街で、اندرون شہر walled city と呼ばれている。(通辞の愚誤郎はwalled cityを九龍城砦と訳す。)
2.56キロ平米に20万人の人口で、世界でも密度はトップクラスだろう。
ラーホール市内北部にあたり、こんなふうに壁にかこまれていた。ラーホールは古い都市だが、発展したのは1584年にアクバルがムガルの首都としてからだった。壁内の最北がラーホール城で、Badshahi Mosqueが隣接している。ジャハーンギール時代に壁外にも町が拡大して、今日のラーホールとなった。
中央にあるのはWazir Khan Mosqueで、上が西になる。壁内の東部に位置している。こちらも建物が密集しているのがわかる。市街全体がそうなのだろう。
映像は壁の外のRashid&Sonsタイヤ店あたりからAnarkali Bazaarを抜け、ラーホール門から旧市街に入る。くねくねと歩いて、ラーホール城左となりの巨大なバードシャーヒー・モスクでおわっている。モスクの南がおおくの踊り子を生んだ花街ヒーラー・マンディーだが、昼間なのであまり様子はわからない。wikiではオンライン営業が取ってかわったとある。
左上がバードシャーヒー・モスクBadshahi Mosque。
混雑の割には清潔で、ゴミもあまりないのは商店街だからか。ハヴェーリーなどの古い建築物で構成されているので、ムンバイーのスラムとは印象がちがう。むかしはカスバとも呼ばれた。
カラーチー
いきなりデコトラだが、おなじオランダ人撮影者によるカラーチー散歩。こちらはラーホール市の倍の人口だが、市域も広大なので2200万人居住でも人口密度はラーホールの半分になる。
ずっと住宅街がつづいて子供がおおい。建物はきれいでも道はそうでもない。撮影が冬だからか空気感はあまりないが、酷暑の日は温度も湿度もすさまじいことになるだろう。どちらの都市も自転車をあまり見かけない。ロバがいた。チーニーやジャパニーもいない。
カラーチー駅近くのKingston Motelから、線路の南を西行する。PNS Shifa Hospital を経由し、Khaliq-uz-zamaan道路を北上してアダム・ロード交差点までの道のりだ。
トルネコ遭遇率は低い。
追記:この記事から半月もたたない1月20日に、アナールカリー市場で爆発事件がおき犠牲者が出た。ラーホール門の前あたりだ。好日は簡単に訪れない。
追記:ラーニーはアナールカリー・バーザールの入り口あたりで生まれた。戦前の人気映画歌手 Mukhtar Begum に親代わりに育てられ、芸を身に着けた。ヌール・ジャハーンも Mukhtar Begum によって見出された。