大武士與小鏢客 (1977)
再開した「恋せぬふたり」で岸井ゆきのは復縁をもとめる男友に、「ごめんなさい」で一件落着した。ところが、あらたに女友がなんの伏線もなしに告白してGL劇場となった。話題をつぎつぎ消費するだけの民放ドラマの作りだ。岸井が教祖になって、あたらしい共同体を運営するようだとまだ見込みがあるが。
こうなるとかえって、岸井史上最大のモテ期を見届ける気になった。高橋一生まで告白すればハットトリックだ。「私たちはどうかしている」では顔にアザをつけられ、結婚式の場で浜辺に横浜流星をうばわれていたのだからずいぶん立場が変わった。
高橋は岸部一徳のような演技で、ひどい企画をそれなりに楽しんでいるのだろうか。次期の相棒は高橋かもしれない。「天国と地獄」ではときどき美川憲一みたいだったし、器用なものだ。
岸井浜辺の新作もGL映画とのうわさがあり、これも気になるところだ。
陳星
大武士與小鏢客は、知るかぎり唯一のBL功夫作品だ。黄正利、羅烈、龍君兒など脇役陣は充実している。
丁華寵
鏢客は用心棒のこと。決闘で父を武侠の陳星に殺された丁華寵は、敵討ちをねらってつきまとう。軽業は達者だが武術は未熟だから、すきをついて殺すつもりだ。
見ての通り美少年なので、陳星も旅をつづけるうち情が湧きレッスンをほどこすようになる。
少年が負傷すると、看護して体を拭いてやったりする。このとき流れる音楽が完全に、昼ドラのマダムがよろめくときのあやしい旋律だ。
反対に武侠が戦いで傷ついて寝こむと、とどめをさすのでなく少年は介抱する。香港のブロンソンと呼ばれた陳星の、たくましい上半身は裸だ。またしても蠱惑的な伴奏が流れる。
陰謀があり謎の黒幕がいて対決となるのだが、役者の数はすくないので誰かはすぐわかる作りになっている。それより武侠と少年は結ばれるのか、それが最大のサスペンスだったりする。