白蓮艶事は1988年製作の大陸武侠電視劇で、各話45分4部からなる。これを通しでまとめた英字幕付きのものと、1部ごとのものがyoutubeにあがっている。
18世紀の白蓮教徒首領であった、王聡児の事績が語られている。白蓮教 王聰兒
王聡児は農民反乱組織である襄陽白蓮教首領の妻で、夫が殺されたのち指導を引き継いだ。ドラマでは東方聞桜が演じている。王聡児は元は芸人で武芸の達人だったと伝わるが、東方聞桜はとくにたしなみがあるわけではない。劉暁慶に似ていて、侠女の目をしている。
特筆すべきは、このドラマでは女優のおっぱいを見せていることだ。中国映画でもめったにないことだが、ドラマでは初めて見た。
もちろん中国ドラマでもエロは描かれる。神鵰俠侶では劉亦菲や陳妍希が裸になったり犯されたりするが、直接の描写があるわけではない。しかしこの前世紀の作品では、しっかりと乳が登場する。
白蓮艶事は白蓮教恋物語の意で、潜入した清朝刺客の方明と娘子軍兵士の辛敏の恋を中心に描かれる。ひねりとしてあるのが、刺客は女性的な容貌なので女装して教団にまぎれこむことだ。画質が悪いせいもあるが、ほんとうに女に見える。
王聡児の暗殺の機会を狙ううちに、方明は親切にしてくれる辛敏に恋してしまう。しかし辛敏こそ父の仇であることを知らない。一方、王聡児がすぐれた指導者であることも理解していく。
気づかれず打ち明けることもできない、感情の機微と関係性を描くのが骨子の作品だといえる。
エロは刺客が脱衣を求められ、正体が発覚しそうになる場面で発生する。
白蓮教のカルト分子が刀槍不入の身体を得るため、男女一体陰陽貫通のスローガンをかかげ裸になることを娘子軍兵士たちに強要する。
王聡児はこの場面をみつけエロ導師を斬首し、刺客の危機は回避される。
兵士たちの水浴びも難関だったが、かたくなに脱衣を拒んでなんとか切り抜ける。
この場で刺客はもし自分が男なら娘と結婚したいとひそかに想いを伝えても、笑って相手にされない。
川楚白蓮教起事と呼ばれる農民戦争は敗北に終わるのだが、ふたりの運命ははたしてどうなるか。大義、愛憎、恩讐、剣戟、懸疑、倒錯とエロがからみあった見ごたえのある作品だ。武術は大したことがないが、首が転がっていたりする。主題歌も野性的だ。
監督の陳福黔は国家一級導演で百度に「始终坚持党的文艺方针，忠实于党的文艺事业」とあるから、このドラマの政治的正しさは疑う余地がない。四川を基盤にしているようで、辺地だからエロについては自由がきいたとも考えられる。本作品は四川省政府賞をもらっている。
農村の法事や自動車ショーでの乱痴気を伝え聞くと、中国といえど「おっぱいが嫌いな人はいない（橋本環奈）」。
改革開放後10年がたち文革のことなど忘れただろうし、1988年という日付を考えると学生たちも天安門に向かうはずだ。
中国映画ドラマの性表現をまとめたサイトはないが、アジア映画少年というところで中港台映画に登場するおちんちんをリストにしていた。12月いっぱいでサービス終了とのことだから、訪問するなら今しかない。（年が明けてもまだ残っていた）
王聡児を主人公にした作品はいろいろあって、白衣侠女(1992)は王美玲主演で武林志、巴陵窃贼の李俊峰が共演している。監督は中国初の功夫映画である神秘的大佛、武林志の張華勲。
王美玲はチャンバラが本格的なので武術隊出身だろう。経歴は不明だ。血滴子映画にも出ている。
アトムの童最終回はパスすることにした。
白蓮艶事は白蓮女杰の別題もある。
ビリビリでは艶事を同音の燕式にしたupもある。
