我们来了2は元々偶像来了系列で、商標問題からこの名になった。だから実質は第三季にあたる。
この偶像来了(2015)こそ、功夫片や武侠片などの電影迷なら歓喜せずにはいられない成員で構成されている。
林青霞 、朱茵 、寧静 、蔡少芬 が顔なじみで、また電視劇の人気女優趙麗穎、大陸人気歌手・楊鈺瑩、若手歌手・張含韻、有名司会者・謝娜、ウイグル族演員・古力娜扎（クーリーナザー）、15才のチェロ奏者・欧陽娜娜（欧陽菲菲の姪）らと男二人の主持人が出演している。これも香港、台湾、大陸、自治区の混成隊だ。
東方不敗の林青霞（ブリジット・リン）
ここでは何といっても二十数年ぶりの日月神教教主、林青霞の復活が最大の話題となった。もう還暦も過ぎすっかり奶奶ぶりが板に付いたが、覇気大気は健在だ。登場するや演員たちは教主教主と感涙にむせんでいた。
台湾、香港が活躍の場だったが、大陸でも中国映画史百年の十傑に選定されていて、どこの撮影現場に行っても人気知名度が高い。「毒戦」の孫紅雷も「若いころの偶像だった。」と電話で愛を打ち明けていた。
撮影現場では力持ちで包容力があり教主の名にふさわしかったが、喜劇の勘もあってしばしば「東成西就」（大英雄）を観ているような錯覚にも陥った。
「大話西遊」（チャイニーズ・オデッセイ）の紫霞仙子・朱茵（アテナ・チュウ）
朱茵は隊中では小柄でいつも長身の蔡少芬と組んでいた。蔡少芬が大陸での出演経験豊富な唯一の香港人なので、心強かっただろう。
「大話西遊」は香港では不振だったものの北京の学生を中心に人気に火がつき、中国では文化現象にまでなったという。そのため大陸でも 紫霞仙子の名は通っていた。近年では電視劇でエミー賞の主演賞に推されたり活躍を続けている。香港から出たことがないので、劇の実習などでは他の成員よりも普通話で苦労していたようだ。仲間からも「あなたの普通話は普通じゃない。」といわれていた。
そうはいっても上海の市場で買い物という「任務」のさいは、誰も上海話ができず野菜ひとつ買うにも困難をきわめていた。
また林青霞は祖籍が山東で、衛視での実習で山東話による報道解説を披露したところ明星たちは抱腹絶倒していた。
これだから国内番組でも字幕がいるのだが、現場での言語生活の実感は字幕でわからないところだ。
「陽光燦爛的日子」（太陽の少年）の 大眼豊乳な apple of my eye だった寧静
寧静は「哈哈哈哈哈哈」と豪快な笑声が字幕で抜かれる（映像加工と効果音がくどいのが中国総芸）ような人柄で、「陽光燦爛的日子」での大胆な脱ぎっぷりも納得だ。またしょっちゅうP音が入り、香港の粗口にあたるような卑語を使っているのだろうが中身は不明。古村での黄梅戯実習では「聞いてない。」「子供みたいなことできない。」と出演拒否し、さっさと司会者に回って観客の村人たちを「温めて」いた。誰も何とも言わないので、そういう人として通っているのだろう。 （追記：これを見ると寧静は黄梅戯にかけては玄人だった。児戯にまじるわけにはいかなかっただろう。）
「后宮甄嬛傳」の皇后ウラナラ氏・蔡少芬（エイダ・チョイ）
蔡少芬は今回知ったが「一代宗師」（グランドマスター）の張晋の伴侶なのだった。服装感覚が抜群で、網絡でも称えられている。「甄嬛傳」の決め台詞を随所で用いて笑いを取っていた。 「大話西遊」で鉄扇公主を演じていて、 朱茵とは 顔なじみでもある。
林青霞といえば「新蜀山剣侠」（蜀山奇傅 天空の剣）を観てその仙気に「この世にこんな人がいるか」と驚いた。
二十代で不食人間煙火（トイレに行かない）的文芸片女主角、
三十代で香港に拠点を移し仙女も性感女神も男装の麗人も演じて「大美人（ターメーヤン）」の名声をほしいままにし、芸歴終盤では古装片で風雲再起して何度も経歴の頂点を重ねた不倒の明星だ。
ところでこの人はマードゥリーの面影があると思うのだが、どこがどうとうまく説明はできない。
偶像来了は第一作だけあって明星の数も多く、視聴率一位を続けた。舞台は海南、南モンゴルの草原、北京芸術村、長沙の放送局、安徽省の古村、上海にわたっている。
印象深いのは安徽省の呈坎村で、「武侠」（捜査官X）の舞台のような趣のある古鎮だった。ただし観光客が多い。「臥虎蔵龍」（ グリーンデスティニー） も安徽省の古村で撮影されている。
都会はどこも施設の豪華絢爛成金風味が目を引く。湖南省長沙は湖南衛視の本拠だが、その社員食堂の献立が美味そうな単菜6品ついて70元（1200円）で、普通の定食屋の倍はするようだ。この光景は見おぼえがある。バブルだ。（明星たちの食欲が社員の倍あるのでなければ。）
食堂に猪耳朶（ミミグァー）があるのは不思議ないが、猫耳朶もあってぎょっとした。しかし没問題、麺の名前なのだった。
どこへいってもやることは我们来了と同じで、二隊に分かれてのたわいない遊戯と実習体験だ。女所帯だから抱擁につぐ抱擁、涙につぐ涙の場面があるがそんな中からも個性が垣間見えた。
趙麗穎は「花千骨」や「陸貞伝奇」などの古装電視劇で人気の女主角とのことだが、补刀（補刀・毒）をところどころで飛ばすので趙小刀の異名がある。童言無忌（子供のたわごと）として相手にはされないのだが、粉絲（ファン）にとってはそれも萌、呆萌、太可愛了なのだった。呆萌は欧陽娜娜にも使われ、チェリストでありながら何本も電影主角を果たし、成龍との共演作品も今年公開されるという。
番組の感情面での領導者は謝娜で、よく泣き笑い演じ踊り、とても多才な人だ。太陽女神と呼ばれる人気司会者だというのもうなずける。
主持人の何炅と汪涵も同じく多才で何でもできる人々だが、立場としてもっともらしいことを語る場面が多々あるのが難で、そこは字幕を飛ばし読みした。
汪涵は最終回で林青霞と「暗恋桃花源」の舞台を演じて、これはちょっとした見ものだ。
おまけ 壁咚ごっこする林青霞と何炅
