マードゥリー・ディークシットが出た Total Dhamaal (2019) の paisa yeh paisa 。マードゥリーはもともとオツムテンテンアホ踊りの人なので、偉人あつかいされるよりこういうのがいい。監督の故インドラ・クマールは、Dil、Beta、Raja などのマードゥリー人気作を90年代前半に手がけて、そのころは自由恋愛の勝利がテーマだった。それが30年たつとバブリーな、中国で流行った金ピカ映画みたいなものを撮るようになった。
この音楽はどこかで聴いたことがあると思ったら、スネークダンス記事で紹介した青蛇 (青蛇転生 1993 香港) でナグマー Nagma が踊っていた曲だった。倩女幽魂や滄海一聲笑の作曲家黃霑は、ラヴィ・シャンカルのファンで微分音を模倣したとしている。
曲は莫呼洛迦の題名をもち、印度の蛇神である摩睺羅伽のことだ。Naga がキング・コブラだとしたら、マホーラガはふつうの蛇の神格にあたる。
しかしwikiにあるように paisa yeh paisa は Karz (1980 ヒンディー) の曲を援用したものだ。 Laxmikant-Pyarelal が黃霑に転生したのだろう。Karz の曲はOm Shanti Om (2007 ヒンディー)にも使われているだけでなく、wikiによればいろいろな音楽作品に化けているらしい。
Karz は Om Shanti Om と同じく輪廻転生映画で、スバーシュ・ガイー監督は1975年米映画の The Reincarnation of Peter Proud が一部転生したものと認めている。
転生の題材は Madhumati (1958 ヒンディー) が有名だが、Category:Films about reincarnation を見ると
Bhaktha Jana (1948 タミル) P. Shanthakumari主演。 (1936年版マーヤーバザールでシャシレーカー役)
Gokuladasi (1948 タミル) ラリタとパドミニが踊っている。
Mahal (1949 ヒンディー) マドゥバーラー主演。ヒンディー映画最初のホラーとされる。
Nenjam Marappathillai (1963 タミル) デーヴィカー主演。パドミニ・プリヤダルシニも出演しているが踊らない。
Mooga Manasulu (1964 テルグ) ANR、サーヴィトリ、ジャムナ主演。Milan (1967 ヒンディー) 、Praptham (1971 タミル) としてリメイクされた。
Thiruvilaiyadal (1965 タミル) シヴァージ、サーヴィトリ、K.B.スンダラーンバール主演。
Neel Kamal (1968 ヒンディー) ワヒーダー・レヘマーン主演。
Shakthi Leelai (1972 タミル) ジャヤラリター、K.B.スンダラーンバール、サロージャー・デーヴィ、K.R.ヴィジャヤ主演。
Thirumalai Deivam (1973 タミル) K.B.スンダラーンバール主演。
Raja Nanna Raja (1976 カンナダ) ラージクマール主演。
Mehbooba (1976 ヒンディー) ラージェーシュ・カンナー主演。
Sri Krishna Leela (1977 タミル) ジャヤラリター主演。
Jaganmohini (1978 テルグ) ジャヤマーリニ主演。
が Karz に先立っている。さすがに多いし、独立前にも転生作品はあっただろう。それでもリスト全体は156本を数えるので、インドだけがこのテーマを好きなわけではない。
リストのなかでは、
フィンランド・中国合作映画の Jadesoturi 玉戦士 (2007) で、張静初が主演している。
スィリープリヤー主演・監督・脚本の Naane Varuven (1992 タミル) がリストに入っている。これはスィリープリヤーの蛇映画 Neeya ? (1984) の続編で、生まれかわりの設定なのだろう。それを数えだすと、きりがない。
大隻佬(マッスルモンク 2003 香港)は、広い意味での輪廻転生映画だ。
リストにないが
同じく張栢芝主演の星願(1999) では、任賢齊が5日間だけ転生できた。
青蛇転生のナグマーの眼の大きさに、今田美桜は負けていない。インド映画界は今田をスカウトして、Love in Tokyo (1966 ヒンディー) のような日本が舞台の映画をリメイクしないだろうか。巨眼で踊れる。